スピーチやプレゼンで聞き手の心をとらえる「3つのつかみ」とは?
普段、ビジネスの場におけるスピーチやプレゼンで、「なかなか聞き手が集中して聞いてくれない」「反応があまり良くない」と感じることはありませんか。理想は、自分が話しはじめてから瞬時に多くの聞き手を引きつけ、そのまま興味深く聴いてもらい、夢中にさせたままスピーチやプレゼンが幕を閉じることでしょう。そんな魅力的なスピーチやプレゼンは、どうすれば実現するのでしょうか。
今回はその方法の一つとして、スピーチやプレゼンで効果的に聞き手の心をとらえる「3つのつかみ」をご紹介します。
スピーチ・プレゼンで相手の心をつかむ「は・ほ・ふ」
スピーチやプレゼンの話し手が、一瞬で聞き手を引き込むために大切なこと。それは「つかみ」を大切にすることです。
スピーチやプレゼンでは、相手がその話に興味を持ってくれるかどうかは「冒頭5秒のつかみで決まる」といっても過言ではありません。この5秒の間にどんな「つかみ」を用意できるかどうかが、スピーチを成功させる上で肝心になってきます。
では、その「つかみ」は、どうやって作ればいいのでしょうか? 実は「つかみ」にはいくつかのパターンがあります。なかでも、代表的なパターンとして、ぜひ覚えておいていただきたいのが次に紹介する「は・ほ・ふ」の3つです。
1.「は」ハッとさせる
これは、聞き手を思わず「ハッ」とびっくりさせるようなつかみのこと。スピーチの冒頭で、「私は、自分の妻よりも隣の奥さんと長い時間を過ごしています」「これまでに私は、3回ほど部下に怒られたことがあります」といった、聞き手が「え、どうして?」と思うような情報を披露し、惹きつけていきます。
ポイントは、最初に情報をすべて伝えず、わざと不完全なまま伝えること。「起承転結」の「転」から入ることで、「これからどんな話が始まるのだろうか?」「あの冒頭の話は、どういう意味だったのだろうか?」と、聞き手に期待感やワクワク感を抱かせながら、スピーチに引き込むことができます。
2.「ほ」ホっとさせる
聞き手の心が「ホッ」と和み、思わず笑みを浮かべるようなつかみのことです。自分の心情や人物像にまつわる話題や笑いを生みそうな温かい話題から入って場を和ませます。
たとえば、人前に立つと、心臓の音が聞こえそうなほど緊張してしまう方はいませんか? そんなときはストレートに心情を告白してみましょう。例えば、スピーチ冒頭に「実は、自分で心臓の音が聞こえるくらい緊張しているんです」と言葉にしてみましょう。すると、緊張が不思議と落ち着いてきます。
また、「最近、ダイエットしているので会場まで走ってきました」といった自分のキャラクターを感じさせる一言を入れ込むことで、聞き手の興味を惹き親近感を抱いてもらいやすくなるのです。
3.「ふ」ふと考えさせる
聞き手が耳にした瞬間に、「それはどういうことなんだろう」「自分だったらどうするだろう」などと、「ふと」相手に考えさせるような一言も、聞き手の心をつかむ上では非常に効果的です。たとえば、「もし、あなたの寿命があと1年しかないとすると、何をしたいですか?」「ここで、経営におけるアイデア力を試すクイズをお出しします」などといった、聞き手が一緒に考えたくなるような問題提起をすることで、相手の心をつかむことができるのです。
「は・ほ・ふ」を使ったつかみの例文
先ほどお伝えした「は・ほ・ふ」を使ったつかみの例文をご紹介させていただきます。
1.「は」ハッとさせるを使ったつかみの例文
【例】
「私はこれまでに3度、警察のお世話になったことがあります」
「私の趣味は……まったく無趣味です」
「私は今から、みなさんの会社の営業利益を50%減らす方法についてお話しします。」
「本日、このプレゼンが終わった後、この会場にいる誰か一人が解雇されます。」
「私は、これまで20年間勤めた会社を、来月辞めることに決めました。」
ハッとさせるつかみでは、聞き手に期待感やワクワク感が伝わることが大切です。あまりにも突飛な始まりになってしまうと、聞き手が置いていかれてしまうため、興味を持ってもらえそうなテーマを選べると良いでしょう。
2.「ほ」ホっとさせるを使ったつかみの例文
【例】
「この場に立つと、みなさんの熱い眼差しで、心臓がドクドクいっています」
「実は、薄毛とゴルフのスコアのほかに、とても悩んでいることがあります」
「昨夜、プレゼンの準備をしていたら飼い犬が資料にコーヒーをこぼしまして。
一部お見苦しい点があるかもしれませんが、温かい目で見守ってください。」
「実はこの業界に入って初めて担当したお客様が、今日この会場にいらっしゃっています。」
ホっとさせるつかみでは、聞き手の多くが初対面だということを忘れずに、初めての人にも伝わりやすいテーマを選ぶと、しっかりと聞き手の心を掴むことができるでしょう。
3.「ふ」ふと考えさせるを使ったつかみの例文
【例】
「日本中の社長が、社員に求めること第一位は何だと思いますか?」
「あなたのビジネス力を知るために、3つの質問をします」
「みなさんは、朝起きて最初にすることは何ですか?」
「この会場のどこかに、あなたの人生を変えるヒントが隠されています。お気付きですか?」
「もし明日から言葉を使えなくなったら、どうやってコミュニケーションをとりますか?」
ふと考えさせるつかみでは、その日のスピーチのテーマに沿った内容にしましょう。聞き手に問いかける内容だからこそ、その後の本題との関連性があることが大切なポイントになります。
スピーチやプレゼンのつかみ「は・ほ・ふ」を使うときのポイント
スピーチやプレゼンの際、「は・ほ・ふ」のつかみのフレーズを言うときには、ぜひ2つのポイントに気を付けてください。
(1)「堂々とした態度を崩さないようにする」
「これを言って引かれたらどうしよう」「ウケないんじゃないか」と心配したり、考えたりしていると、その迷いが相手に伝わってしまって、つかみの効果が半減してしまいます。一度やると決めたなら、戸惑いは捨てて、ビシッと決めてしまいましょう。
(2)できるだけ「つかみ」の部分は短い文章でまとめる
冒頭の「つかみ」は、短ければ短いほどにインパクトがあります。挨拶などの長い前置きを入れてしまうと、せっかくの言葉のインパクトを損なってしまいます。できるだけ、前置きは少なくしましょう。
スピーチ・プレゼンのつかみのトレーニング
先ほどお伝えした「は・ほ・ふ」を使ったつかみのトレーニングをご紹介させていただきます。
1. 冒頭の30秒を録音・録画する
自分の話す様子を客観的に評価することは、最も手軽で大きな効果があるおすすめの方法です。スマートフォンなどを使って、スピーチの冒頭30秒を録音または録画してみましょう。このとき、以下の点に注目して振り返ってください。
・声のトーンと大きさ:聞き取りやすい声のボリュームか。不安そうな声になっていないか。
・表情とジェスチャー:笑顔は自然か。手の動きは話の内容と一致しているか。
・言葉の選び方と間:専門用語や難しい言葉を使いすぎていないか。
2. 日常の会話で「つかみ」を練習する
スピーチ・プレゼンのつかみは、決して特別な場面だけで使うものではありません。日常の会話でも活用できますので、聞き手の興味を引く練習をしてみましょう。例えば家族や友人との会話では、「実は、週末にすごく変なことがあって……」といった「ハッとさせる」つかみを使ってみたり、仕事の報告や会議の冒頭で、「今日の会議は、みなさんの仕事の仕方を根本から変えるかもしれません」といった「ふと考えさせる」つかみを試してみるなどです。こうした小さな練習を繰り返すことで、自然と相手の心をつかむ話し方が身についていきます。
3. フィードバックをもらう
直接的なトレーニングではありませんが、他の人からのフィードバックをもらうことは、一人でトレーニングするよりも大きな効果が得られます。家族や友人、同僚に冒頭の30秒を披露し、率直な感想を聞いてみましょう。この際、「どこがよかったか?」「もっと聞きたいと思ったか?」といった具体的な質問を投げかけることで、より質の高いフィードバックが得られます。これらのトレーニングを繰り返すことで、自然で力強い「つかみ」が身につき、聞き手を惹きつけるスピーチができるようになります。
KEE’Sの企業研修
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