傾聴力が向上するトレーニングとは?5つの方法を解説
人間関係や組織パフォーマンスを左右する「傾聴力」は、簡単に身につくスキルではありません。そこで注目されているのが、体系化された「傾聴力トレーニング」です。しかし「何を」「どの順序で」学べば成果が出るのかを把握できている企業は多くありません。今回のコラムでは「傾聴力トレーニング」によって得られるメリットから具体的なトレーニング方法まで詳しく解説します。
傾聴力トレーニングによって組織が得られるメリット

「傾聴力トレーニング」とは、相手の話を黙って聞くのではなく、「相手の思いを正確に受け取り、共感し、必要に応じて返答する」スキルを養うプログラムです。ロールプレイ、フィードバック、自己評価などを組み合わせて、実際に職場で使えるようになることを目指します。このようなスキルは一朝一夕で身につくものではないため、トレーニングを実施することはもちろん、日々の業務や対話の中で継続的に鍛えることが必要です。
「傾聴力トレーニング」を取り入れることで、組織にとってどんなメリットがあるのか、代表的なものをご紹介します。
• 社内におけるメリット
上司や部下、同僚同士の対話が深まります。「相手が自分の話を聞いてくれない」という不満が減るため、組織全体の満足度向上にも繋がるでしょう。また、部署やチーム、プロジェクトの問題点や課題を引き出す力が上がるほか、新しいアイデアや提案がしやすい風通しの良い組織を作ることができます。さらに、相手の背景や価値観に目を向ける機会が増えることで、多様性への理解も深まりやすくなるでしょう。
• 接客時におけるメリット
お客様自身も把握していなかった本音を引き出すことができて、よりニーズに合った提案をすることができるようになります。また、クレームやトラブルがあった場合でも、スムーズな対応ができるでしょう。傾聴によってお客様との信頼関係が築かれれば、長期的な関係構築やファン化にもつながります。
• ビジネスシーン以外におけるメリット
家族やパートナー、友人との対話においても「傾聴力」は大切です。「話を聞いてもらえる」という安心感が生まれるため、互いに心地よいコミュニケーションを築くことができるでしょう。身近な人だからこそ、普段から興味・関心をもって傾聴することを心がけたいものです。
知っておきたい傾聴の3つの種類

「傾聴」には大きく分けて3つの種類があります。
• 受動的傾聴
傾聴の基本的な姿勢です。相手の言葉や態度、考えを、丸ごと受け止めるような聴き方です。特に初対面の相手やセンシティブな話題に対しては「受動的傾聴」の姿勢が信頼の土台をつくります。しかし、ただ聴いているだけで反応がないと、相手は不安になってしまいます。そこで、あいづちを打ったり、アイコンタクトをとったり、表情を使って気持ちを伝えたりすることが大切です。相手に「話を聞いてもらえている」という安心感を与えるようにしましょう。
• 反映的傾聴
相手の言葉や態度を「反映させながら」聴くことです。代表的なものに「相手の使った言葉を繰り返す」という方法(ミラーリング)があります。たとえば、部下が相談してきたことに対して、すぐに提案や指導をしていませんか?まずは、部下の言葉を繰り返してみることを心がけましょう。また、ただ繰り返すだけでなく、要約したり、言い換えたりすることも効果的です。
• 積極的傾聴
話を聴きながら、必要に応じて相手に働きかけるのが「積極的傾聴」です。たとえば、相手に質問をしたり、内容を深掘りしたりすることで、相手が自ら考えるきっかけを作ります。ただ、相手を責めたり批判したりしているように聞こえないように、工夫する必要があります。
傾聴力が向上する5つのトレーニング

実際に「傾聴力」を高めるために有効な5つのトレーニングをご紹介します。
1. 「相手7:自分3」の割合で会話をする
会話の中で「つい自分ばかり話してしまう」という人は要注意。傾聴力を高めるためには、相手により多く話してもらうようにしましょう。割合としては「相手7:自分3」程度が適切です。相手に話す場を多く与えることで、自然と多くの情報を引き出すことができます。トレーニングでは、時間を測ったり、聞き手役となった相手からフィードバックを受けたりすることで、感覚を身につけていきましょう。
2. バックトラッキング
「はい」「そうなのですね」などの軽いあいづちを挟みながら、会話の要点を確認します。相手は「理解しようとしてくれている」と感じるため、話しやすくなります。ただ、あいづちが多すぎたり、相手の話すペースより早かったりすると、逆効果になるので注意が必要です。
3. ミラーリング
人は、自分と同じ性質を持った人に惹かれるもの。その心理を利用したスキルが「ミラーリング」です。相手の身振りや表情、声のトーンなどを合わせることで、居心地の良さや安心感を与えることができます。ミラーリングを意識しすぎて、不自然にならないように気をつけましょう。会話の冒頭から意識しすぎると逆効果になりやすいため、徐々に合わせていくのがポイントです。
4. ペーシング
ミラーリングと似ていますが、相手の呼吸や話すペースに合わせることを「ペーシング」と呼びます。早口で話す相手にはテンポよく、ゆっくりしたペースで話す相手には丁寧に話すことで、相手に「話しやすい」と感じてもらいます。話すペースは人によって違うため、いろんな人とペアで練習できると良いでしょう。
5. パラフレージング
相手の話を別の表現で言い換えることです。たとえば「売り上げが伸びました」という言葉は「業績が好調です」と言い換えることもできますよね。話の趣旨をきちんと捉えていないと、言い換えることは難しいため、相手に「あなたの話を正しく理解している」と伝えることができます。
トレーニング実践のポイント

傾聴力を高めるためには、とにかく「実践」することが大切です。ペアになって実際に会話をし、その様子を録画・録音しておくと、自分自身の癖や課題に気づくことができます。「話を聴いてもらってどうだったか」という感想をお互いにシェアしたり、講師からフィードバックを受けたりすることも効果的です。
ただ、トレーニングを単発で終わらせてしまうと、せっかく身につけたスキルも忘れられてしまいます。大切なのは、傾聴を日常の業務にどう組み込むかです。たとえば、1on1ミーティングの導入や、チーム内での定例フィードバックタイムに「傾聴スキルを意識して振り返る」時間を設けることで、習慣化することができるでしょう。
まとめ
今回は「傾聴力トレーニング」を実施するメリットや、5つのトレーニングについてお伝えしました。傾聴力は、職種・業種や階層を問わず、すべてのビジネスパーソンに必要な基本スキルです。だからこそ、専門家による体系的なトレーニングを取り入れ、スキルを定着させたいところです。
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