管理職に求められるコミュニケーション能力とは
管理職に求められる能力と聞いて、皆さんはどのようなものを思い浮かべますか。部下の指導、業務効率の改善、生産性の向上、社外との円滑な取引等、あげればキリがありません。しかしそれらは全て、人と人との良い関係性があってこそうまく進むもの。コミュニケーション能力は管理職の必須スキルとも言えます。このコラムでは、管理職に求められるコミュニケーション能力を対象や場面別にわかりやすくお伝えします。
管理職に求められるコミュニケーション能力とは
コミュニケーションを考える際は、どんな相手とどういった場面でという相手との関係性がとても重要です。そこでまずは管理職が日々コミュニケーションを取る対象を整理しながら、必要なコミュニケーション能力を確認しましょう。
上司や経営幹部とのコミュニケーション(現状報告、要望、改善)
管理職の立場にある人が、自身の上司や経営幹部とコミュニケーションを取る場面を想像してみましょう。企業の重要な意思決定に関わることが多いことから、正確な現状報告ができること、要望を具体的に提案できること、実現可能な改善案を組み立てられること、などが求められます。
部下やメンバーとのコミュニケーション(指示、連絡、内省を促す、課題の発見、動機づけ)
部下とのコミュニケーションに関して悩む人は多いかもしれません。まずは指示や連絡をわかりやすく伝えること、目標や現状を整理すると共に部下へ次の行動を促すこと等が管理職としての重要な役割になります。また個別の面談を通じて部下に内省を促し自ら課題に気づいてもらうことも大切で、そのような場合には管理職の「聴く力」が問われます。さらに部下の仕事に対するモチベーションを高めるためには、ポジティブな言葉かけも大切です。
社外とのコミュニケーション
誤解がないように正しく伝える、十分に魅力を伝える、できることできないこと断る力など対外的に必要なコミュニケーションの要素も多くあります。
ちなみに、それぞれのコミュニケーション能力の土台となるのは、言うまでもなくお互いの信頼関係です。互いにとって「この人の話を聞きたい」と思うこと、「この人は自分の話を受け止めてくれる」と感じること、「この人になら安心して心の内を話せる」と確信が持てること、これらがあって初めてコミュニケーションが始まります。コミュニケーション能力は例えるなら“木の幹”であり、そこにしっかりと信頼関係の根っこが張られているかが大切です。
2種類のコミュニケーション能力
ところで、コミュニケーションというとまず言葉でのやり取りが思い浮かびますが、コミュニケーションには言葉以外にも様々な要素があります。
主に言葉を使うコミュニケーションは「言語コミュニケーション」一方が発信した言葉に対し、もう一方が耳を傾け内容を理解する。理解した内容から、それに対する自分の考えや感情を伝え返す。言葉が大切ですから、簡潔に伝えること、わかりやすい表現を使うこと、要点を明確にすることなど、「言葉で伝える力」が求められます。また聞き手にも、相手の言葉を最後まで聞いて受け止める力や、聞いた内容を咀嚼し質問で返すといった「言葉を聞く力」が求められるでしょう。
さて、言葉を使わないコミュニケーションは「非言語コミュニケーション」と呼ばれますが、非言語と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか。言葉に関しては一生懸命考えるのに、言葉以外のもの、つまり非言語コミュニケーションに関して、わたしたちはあまり意識しません。それだけに、自分のくせが知らずに出ており、相手にとって思いもよらない受け止め方をされていることも。例えば表情。部下から「部長、ちょっとお時間いいですか。ご相談したいことがあります。」と言われた時、あなたはどのような反応をしているでしょうか。
「何かな?ちょっと今忙しいけど5分だけなら・・・。」と言葉を返しながら、ムッとした表情になっていませんか。キーボードを叩く手を止めず、目線もパソコンの画面を睨んだままではありませんか。さらに言葉とは裏腹に、苛立ちのこもった声になっていませんか。表情や目線、声のトーン……これらが非言語コミュニケーションです。相手は言葉よりも、表情や声のトーンから伝わる感情をより印象強く受け止めます。ですから部下は、「5分だけなら。」と言う言葉を聞きながらも「今は話しかけない方がよかったのかもしれない。部長を機嫌悪くさせてしまったなぁ・・・。」と内心びくびくしているかもしれません。あるいは「仕事の手を止めて話を聞いてくれてもいいのに。部長はいつもこうだ。」と怒りがわいているかもしれません。また、部下が話している際に腕組みをしていたり、時間が気になりチラチラと時計を見たりしていませんか。このような「聞いている時の姿勢」にも、非言語コミュニケーションは大きく関係します。
管理職が高めたいコミュニケーション能力
では最後に、管理職に求められる3つのコミュニケーション能力とそのポイントをお伝えします。
話し方
ビジネスの場では、情報がわかりやすく正確に伝わることが大切です。そのために以下のことを意識しましょう。
① 要点を簡潔にまとめる
話が長ければ長いほど、聞き手の集中力は落ちると認識しましょう。重要なことはポイントを絞り、まずは結論を簡潔に伝えます。詳細は必要な時に後から補足したり、部下の理解レベルを見ながら付け足しても構わないのです。
② 強調や間を使って表現力豊かに
日本語は意識せずにいると一本調子で淡々と話してしまいがちな言語です。ここが大切、というところは少し声のトーンを高めたり、直前に間を取るなどし、表現を工夫しましょう。
③ 聞き取りやすい声で
声の良さはあなたの印象の良さにも繋がります。また言葉がはっきりしていると、「今、何と言ったのかな。」と聞き手が頭の中で振り返る必要がないため、双方のストレスがありません。声は正しいトレーニングを続けることで必ず変化します。
聞き方
あなたがどのように話を聞いてくれるかを、相手はしっかりと感じています。多くの人は、相手の話を聞きながら実際は「この後何を話そう。」と、自分が次に何を言うかを考えています。まずは相手の話を「傾聴」しましょう。傾聴とは、相手の言葉を最後まで聞くことです。批判や評価をしたくなる気持ちをぐっとこらえて「それは大変だったね。」「そのように考えていたんだね。」と、相手を肯定する相づちも意識しましょう。間髪入れずに会話を続けることに慣れている人には、少し鍛錬のいることかもしれません。しっかり聴いた後は、考えを整理するための「質問」も重要です。職業経験の長い管理職の側が答えを出すことは簡単です。しかしそこをぐっとこらえ、相手の内省を促し、話し手が自ら答えを出せるように促すことも「質問」によって可能となります。
考え方
仕事のやり方は各自がマニュアルを見ればわかります。しかし、何のためにそれをするのか、どのような背景でこの流れがあるのか、それをすることにより見える未来は何かといったことを全ての社員が同じように想像できているとは限りません。それらを伝えられるのは、職業経験を重ね、成功や失敗を重ねて積み重ねてきた管理職だからこそ。あなたの経験や信念がその言葉の背景にあることそのものが、コミュニケーションを深く豊かに彩ります。
いかがでしたか。日々の忙しさの中、当たり前過ぎて見落としがちなコミュニケーション。この機会に是非ご自身のコミュニケーションを振り返ってみてください。得意な部分はさらに伸ばし、苦手な面や無意識のくせは改善を。KEE’Sがそのお手伝いをさせていただきます。管理職のコミュニケーション能力や研修内容についてご質問がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
KEE’Sの企業研修
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