コラム

ビジネスでの電話の話し方のポイント

ビジネスにおいて、電話で話すのと、直接会って話すのとでは、話し方やマナーに大きな違いがあることをご存知ですか? それを意識せずに、ビジネスの電話口でも普段と同じような話し方をして、電話応対の印象を下げてしまっている人がいます。

まずは、ビジネスシーンでよく見かける間違った電話の話し方を3つ挙げておきましょう。

1.電話が機械であるということを意識していない。

電話は機械です。口元にあるマイクが、あなたの声を集音して、相手に届けています。それを意識せず、受話器に口元を近づけすぎたり、息を強く吹きかけて話したりすると音が割れ、聞き取りにくい声になります。反対に、小さくボソボソを話す声は機械を通すとたちまち「まったく聞き取れない声」になってしまいます。

メール対応と同じようにどのような言葉を使うかは意識できていたとしても、電話ではそれをどのように伝えるかまでしっかりと意識する必要があります。聞き取りにくい声はそれだけで先方にマイナスイメージを持たれてしまう可能性があります。

また、電話という機械を通すとアルファベットなどの音の短いものは、特に聞き取るのが難しくなります。「B」「E」「D」「T」「P」など聞き取りにくいアルファベットは、「BANANAのBです」など、すぐ言い換えられるよう準備しておきましょう。同じく数字も音が短いので、普段のスピードより、ゆっくりと丁寧に発音するようにするとわかりやすいです。

2.敬語が整理できていない

第三者が絡む電話は敬語の使い方も混同されがちです。例えば、外出していて不在の上司宛に伝言をことづかる場合、「私が用件を申し上げておきます」は間違いです。自社の人間である上司を高める謙譲語を使ってしまっています。「私が申し伝えます」が正解。「申し上げる」「申し伝える」はどこが違うのか、今一度考えてみてください。敬語が誰に向かっているのか、対象を意識すると使い方の間違いは少なくなります。

また「恐れ入りますが、田中は、本日お休みをいただいております」という表現。自社の人の休みに「お」は必要ありません。「いただく」は、電話をかけてきた相手のお陰で休みをとっている場合くらいで、本来は「田中は本日休みを取っております」で十分です。

電話をかけてきた相手に対しても、きちんと敬語を使いたいものです。まずは電話を受けたら、先方の社名やお名前を復唱します。このとき、「〇〇様でございますね」は誤りです。「〇〇様でいらっしゃいますね」と正しい表現を使うようにしましょう。また、同僚に電話を取り次ぐ際、「担当者に繋ぎますので、少々お待ちください」と電話口では丁寧でも、保留ボタンを押した瞬間、「加藤さんていう人から電話~」と話し方を崩す人をよく見かけます。たとえ聞こえていなくても、そこは職場。電話の相手は、ビジネスパートナーです。社会人として常識的な言葉を使うのは最低限のマナーです。

3.独りよがりになりがち

これが最も大きな電話の落とし穴です。電話はお互いの表情がまったく見えません。それによって起こることは「ポジティブな感情が伝わりにくい」、反対に「ネガティブな感情は伝わりやすい」という一見逆説的な現象です。

具体的に考えるとわかりやすいでしょう。例えば、普段はコミュニケーションが得意なのに電話だとぶっきらぼうな話し方になってしまうということはありませんか? また、イライラしていたり、「早く切りたい」という気持ちがあったりすると、ネガティブな感情が声にストレートに表れてしまうということはありませんか?

理由はシンプルです。
電話では“相手を気遣う”ことが難しくなってしまうから。相手の顔が見えないと、相手を思いやる想像力も途端に低下してしまうのです。

実際に相手と顔を合わせているときは、少々無理をしてでもテンションや声のトーンを上げて、相手を気遣うポジティブな話し方をするでしょう。また反対にネガティブな感情を抱いても、相手に悟られないよう、傷つけないように音声表現や言葉遣いを工夫するはずです。

そう、特に対面の会話では無意識のうちに、相手を思いやり、ポジティブな感情をオーバーに、ネガティブな感情を抑えてコミュニケーションを取っていますが、顔が見えない電話では、それができなくなってしまうのです。

ビジネスの電話は、仕事をしている最中に取ることが多いもの。
自分に関係ない電話だと思ってイライラしながら応対すると、その感情は声に乗ってしまいます。

また営業電話の受け方も同じ。相手が話している最中でもお構いなしに「結構です」などと切ってしまっていませんか? 飛び込みの訪問営業なら、そこまであからさまな断り方はできないのではないでしょうか。相手の顔が見えない電話だからこそ、乱暴な断り方をしても、心がそれほど痛まないのです。

ただでさえ忙しい仕事中、営業電話にいちいち付き合っていられない気持ちもわかりますが、その相手がもしかしたら、大事なビジネスパートナーになることもあり得るのです。少なくとも、電話ではあなたの会社のイメージをあなたが担っていることくらいは、心に留めておきましょう。

●話し方のテクニック

電話の話し方の落とし穴を知れば、応対スキルは格段にアップする。


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